1 準備 |
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1.1 実習用チップの内容 |
実習用のチップ上の、8bitカウンタ、微小パッド、遅延バッファを例に説明を行います。信号用パッドの配置は図1.1、信号の内容は表1.1をご覧下さい。なお、パッドの番号とパッケージのピン番号は異なりますので、ご注意ください(IMS ATS-100 実習解説書のページ参照)。
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表1.1 信号パッドのリスト
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1.2 チップの表面処理と取り付け |
チップの表面は、保護膜で覆われているため、電子ビームが配線まで到達しにくいという問題があります。このため、できたら保護膜を剥離しておくと好結果が得られます。エッチング方法は、ADVANTEST E1380A EBテスト・システムトレーニング試料を参照してください。また、観測領域が限定されているなら、金沢大学VDEC北陸支部のFIB装置を使用して、保護膜をエッチングしておくことも可能です。あまり正確な像観察の必要がなく、波形を正確に観測したい場合には、チップ内の配線に微小なパッドを設けておくのも一つの手です(電子ビームプローブは、回路に対して無負荷です)。
EBテストシステムを使うためには、パッケージを開封する必要がありますが、プラスティックパッケージを開封するには、危険な薬品を使用する必要があります。VDECへの設計データ提出時に、セラミックパッケージの必用個数を聞いてきますので、ここで、必要数を注文してください(但し、追加料金が必要です)。セラミックパッケージは、ピンセットで蓋がはがせるようになっています。VDECのオンセミを使用する場合は、デフォルトでセラミックパッケージです。
チップは、ATS-100の上のVDECアダプトにDUTサブボードを装着して、LSIテスタを使用するときと同様に取り付けます。チップの取り付け方向には、特に注意が必要ですので、IMS ATS-100 実習解説書のページを参照して間違えないようにしてください(DUTの一番ピン方向と、チップの1番ピン方向は逆向き)。
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図1.2 EBプローブ実習用チップの取り付け状態 |
1.3 LSIテスタとEBテストシステムのドッキング |
VDECアダプトには、高さ調整用のアルミリングが何段か重ねてあります。通常、LSIテスターの終了時には、図1.3のように4つのアルミリングが重ねられて、その上に蓋が乗っているはずですが、蓋と一番上の11mmのアルミリングは、取り外してください。取り外した、アルミリングは、図1.4の収納箱に入れてください。
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図1.3 VDECアダプト用アルミ・スペーサ・リング(横面図) |
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図1.4 VDECアダプト用パーツケース |
EBテストシステム制御用ワークステーション(vlsiebp)にログインします。このワークステーションは、VLSI設計室のアカウントとは異なるので、IDとパスワードは、TAまたは装置管理者に直接聞いてください。
EBテストシステムのチャンバは、めくら蓋をした状態で、真空引きされています。蓋を開けるために、以下の手順でチャンバをヴェントしてください。
※ Vacuum Setup ウインドウでは、Standbyは真空引き状態で電子線が出ていない状態、Probingは電子ビームが出ている状態、Change DUTは大気圧開放中を意味しています。
図1.5のヘッド回転レバーを回して、ヘッドを横向きまたは上向きに回転する。3mm角の6角レンチでめくら蓋をはずし、測定用取手に換えます(図1.5)。測定用取手は、図1.4の箱の中に入っています。めくら蓋をはずすときや、測定用取手をつけるときに無理な力がかからないように注意してください。また、ねじ穴の位置をよく確認して行ってください。測定用取手を取り付けたら、EBヘッドを元の位置に戻します。
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図1.5 EBヘッドの回転(取手の向きに注意) |
次に、EBヘッドとLSIテスタをVDECアダプトを介してドッキングさせます。図1.6に使用するねじの位置を示します。
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図1.6 EBヘッドの移動に使うネジ | 図1.7 LSI テスタと EB ヘッドがドッキングした状態 |
1.4 VDECアダプトの真空引き |
Vacuum Setup ウインドウで、Standby チェックボックスをクリックすると、真空ポンプが回転します。EB CTRL ウインドウの Vacuum 欄が赤から黄色になったら真空引き完了です。EB CTRL ウインドウの真空度ゲージで真空度をチェックできます。
※ この状態から、Vacuum Setup ウインドウProbing をクリックすると、EB CTRL ウインドウの Vacuum 欄が黄色から緑色にかわり測定が開始できます。
[注意] 真空引きする前に、LSIテスタから信号が印加されていないことを確認してください。信号を印加したまま真空引きすると放電する恐れがあるようです。
1.5 終了方法 |
終了前に、LSIテスタのテスト動作が止まっていることを確認してください。EBテストシステムの終了手続きは、下記のようにします。
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図1.8 終了状態(定位置)。ワークステーションは、真空引き状態のままにしておく |
Copylight (C) 2001 Akio Kitagawa, Kanazawa Univ.