2 IMS Screens による機能テスト

2.1 ツールの起動

制御用ワークステーションvlsitestにログインすると、X-Windowを立ち上がります。ロジックマスタにIDLE LED が点灯しているのを確認し、コマンドラインから、

vlsitest> ims [RET]

を実行し、IMS Screens を起動します。図2.1のようなウインドウが現れます。右下の Selected socket card: が Open I/O となっていることを確認します。もし、違っていたら、この部分を右クリックして変更します。

※ コマンド ims は、'ims_screens &' にalias がかかっています。
(注意) もし、ModuleがセットされているSlotの位置が図2.1と異なっていたら、前回の使用者に連絡して、VDEC標準Pin配置に対応するように戻してもらいましょう。

Configuration Window
図2.1 Configuration

2.2 グループの作成とピン割り当て

デバイス信号に名前と番号を付け、それらをロジックグループに構成します。プルダウンメニュから、Screens → Resource Assignment を選択すると図2.2のようなウインドウが現れます。グループは、多ビットの信号(ベクトル)を一まとめにして名前を付けておくために使用します。従って、1bitの信号では、1つの信号を1つのグループに割り当てることになります。

Resource Assignment
図2.2 Resource Assignment

ここでは、例として、遅延バッファの入力ピン (1bit) を、'in' という名前のグループに割り当てます。

  1. Name(上部):
    このフィールドには、グループ名を入力します。ここでは、'in' です。
  2. Type:
    この項目を入力する際に、以下の点に注意してください。
    • 入力:Force グループに割り当てる
    • 出力:Compare グループに割り当てる
    • 双方向ピン:Force と Compare グループ両方に割り当てる
    • 電源とグランド:Power グループに割り当てる
    なお、これらの切替は、マウスの中/右クリックで行います。ここでは、入力信号のグループなので、Forceを選択します。
  3. Pin:
    ここでいうPinは、ATS-100のチャネル番号のことです。ここでは、5A0を使用しています(準備のページ参照)。このフィールドに入力すると、右側のマップにマーク(入力 = '→'、出力 = '=')が表示されます。登録したPin名を消すには、Pin名を選んで Shift + DEL キーを押します。
  4. Name:
    Pin名(チャネル番号)に名前を付けます。何でもOKですが、ここでは、in としてあります。
  5. Number:
    信号Pinに番号を付けることができます。これも何でもOKです。ここでは、i1 としています。
次のグループを入力するには、グループ名(上部のName)まで移動して、新しい名前を入力し、同様の操作を行います。同様にして、遅延バッファの出力ピンのグループも作成してください。

VDECアダプトの場合、電源は下記のように設定します。

(Group)NameTypePinNameNumber注意点
VAPowerVAvava
VDDPowerV1vddvddRohm CMOS 180nmのQFP80の場合VDDOに設定
VDDOPowerV2vddovddoRohm CMOS 180nmのQFP80の場合VDDに設定
GNDPowerGNDgndgnd

2.3 Operating Condition の設定

Pinアサインされたグループに対して、詳細な動作環境を定義します。プルダウンメニューから、Screens → Operating Conditions を選択します。図2.3のようなウインドウが現れます。

Operating Conditions
図2.3 Operating Conditions

  1. Cycle Time:
    システムクロックの周期を設定します。可能な値は、20ns - 5.088us (100MHz - 200kHz) です。
  2. Format:
    Force Group では、入力波形を設定(右クリック)します。ここでは、NRZ を選択しています。Compare グループでは、ストローブの方式を選択します。ここでは、Edge(サイクルのスタートから、Delayで設定した時間分だけ遅れてサンプルする。この他に、一定区間で積分することもできる)を選択しています。
  3. Low Drive, High Drive:
    論理0、論理1に対してテスタが出力する信号電圧を設定します。実習用チップの場合、0V と 5V です。
  4. Low Thresh, High Thresh:
    DUTが出力した電圧に対して、論理1と論理0を判定するための閾値電圧を設定します。CMOS回路の場合、0.2*VDD と0.7*VDD が標準です。
  5. Voltage (Power Group):
    電源とグランドの電圧を設定します。実習用チップでは、VDD (Core) = 5V, VDDO (IO Buffer) = 5V, GND = 0V です。VAはATS-100の内部電源ですが、VDEC用DUTサブボードでは、チップに供給しませんので0VでOKです(正確には、電源パスコン接続制御用リレーに供給)。
[参考] フォーマット(入力波形)は、NRZといった名前で呼ばれます。代表的なものを以下に示します。他のスタンダード・フォーマットについては、ATS Screen Interface Manual, p.3-4 - 3-6 を見てください。

Signal Formats
図2.4 入力信号フォーマット

2.4 テストパターンの入力と編集

プルダウンメニューから、Screens → Patern Control を選択します。図2.5のようなウインドウが現れます。テストパターンを入力するには下記の3つの方法があります。

  1. パターントランスレータプログラム
    ATPやIMS Linkなどの変換プログラムを使用します。Verilog HDL によるテストベクトルがある場合は便利。詳細は、IMS Linkの章を参照。
  2. セーブファイルからのダウンロード
    以前に作成したセーブデータのロード。
  3. 直接入力
    パターンコントロールスクリーンでの直接入力。簡単な回路のテストに便利。パターンを入力する際、簡単な関数を生成する機能を用いることができる。(詳細は、IMS Screen Interface マニュアルを参照)。
下の例では、遅延バッファの入力ピンin にNRZの信号を入力し、1/0を交互に繰り返すようになっています(Force フィールド)。従って、周期 = 60.0ns x 2 のクロックを入力したのと同じです(図2.3参照)。期待値(Expect フィールド)には、バッファの期待値を記入します。テストを行う前は、Acquire フィールドは、不定値 X が表示されています。下図は、既にテストを行った後の状態です。Instructions 列には、制御コマンドを記入します(表2.1参照)。

表2.1 Instructionの例
InstructionControl Description
Goto **行へ無条件で戻る
Loop ? times
・・・
End Loop
Loop - End Loop 間を ? 回繰り返す
Halt終了

Pattern Control
図2.5 Pattern Control

2.5 テスト実行

ウインドウ下部の Start System ボタンをクリックするとテストが開始され、終了すると、Acquire フィールドには測定結果が表示され、上のほうに黄色の文字で Test Complete. と表示されます(図2.5参照)。但し、図2.5の場合、Goto 0 の Instruction により、無限ループとなっていますので、自分ではテストが終了しませんので、Stop System ボタンをクリックして終了させます。

Expect と Acquire が一致しない場合は、その個所が赤く表示され、Error フィールドに e の文字が表示されます。また、上部の Error Count: のフィールドにエラーの数が表示されます。

2.6 セーブとリストア

作成したデータを保持するには、プルダウンメニューから、Screens → I/O Functions を選択します。図2.6のようなウインドウが表示されます。Operation: のフィールドでマウスの中/右クリックして Save File を選択し、To/From のフィールドでは、保存先 (Host ) を選択します。Filename: を入力し、ウインドウ下部の Start Save / Restore をクリックすると保存が開始されます(この操作は、よく忘れるので注意)。リストアする場合は、Operation: フィールドを Restore file にして同様の操作を行います。

I/O Functions
図2.6 I/O Functions

2.7 終了

テスト信号を停止(Pattern Control 上部の Test Complete.)を確認し、プルダウンメニューから、File → Exit を選択します。そのあと装置の立ち下げを行います。



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